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留学体験記

ER体験記~ヘリ添~

沖縄県ヘリコプター等添乗医師等確保事業、通称「ヘリ添(てん)」(通称は浦添総合病院内だけかもしれませんが)の体験について語ります。
沖縄県ドクターヘリ事業として、平成20年12月から浦添総合病院救命救急センターにドクターヘリを沖縄本島全域及び本島周辺離島を運航範囲として導入しています(下図は病院HPより)。少し古いので読谷発進基地となっていますが現在は浦添港川ヘリポートが発進基地となっています。

沖縄ドクターヘリ運行範囲

では、この範囲外の離島(例:大東島)や夜間に入院加療が必要な急患が出た場合はどうなるのでしょうか?その場合に行われるのが「ヘリ添」です。簡単に言うと、自衛隊にヘリ(もしくはプロペラ機)を出動してもらい、それに添乗して離島診療所/病院へお迎えに行き患者搬送を行います(海保も対象ですが自分たちが関わるのは自衛隊のみなので「自衛隊」と述べます)。ちなみに沖縄県は47都道府県で唯一消防ヘリがありません。
沖縄本島の8つの病院が協力し当番日を設定し、当番日に要請があった際には昼夜問わず当番病院の医療スタッフが出動します。那覇空港は国土交通省が管理する官民共用空港であり、要請があった際に航空自衛隊那覇基地に向かい、搬送に協力してもらえる自衛隊員とともに自衛隊ヘリに乗って那覇空港から離陸していきます。

滑走路からの離陸

この日は22時過ぎに要請がありました。離島診療所→消防指令センター→ヘリ添当番電話へ要請連絡→自衛隊に出動要請→要請元Drから情報収集→必要医療器材を病院で調達→那覇基地へ、という流れで出動。診療所に電話すると、内容は「吐血、食道静脈瘤破裂疑い、ショック」の転院依頼。診療所なので限られた医療資源しかなく、入院加療や緊急内視鏡はできず、輸血やSBチューブも無いのが普通です。必要なものを浦添総合病院で調達していざ自衛隊基地へ移動。民間機も飛んでいない時間で、しかも自衛隊ヘリだからてっきりその場で真上に上がるのかと思いきや、ちゃんと滑走路まで水平に移動して、飛行機のように滑走路に沿って離陸したのが意外でした。安全のためルールは大事。

講習の様子

ランデブーポイントに着陸した後は、ヘリのエンジンは止めずに自衛隊員の誘導のもと降りていき、ランデブーポイントまで来ている搬送車内で引継ぎを行いました。自衛隊ヘリはドクヘリの何倍ものローター音で、さすがに外ではほとんど聞こえません。申し送りを受け診察を行ったのちヘリへ移動し搬送しました(右は講習時のイメージ)。那覇基地からは救急車での搬送でした。幸い状態は安定し無事浦添総合病院まで搬送できました。

ヘリ添輸送機ヘリ添輸送機ヘリ添輸送機

ヘリ添で使用する搬送機は右の写真の3つがあり、固定翼機でも行くことがあります。固定翼機だとヘリよりも2倍くらいの速度(約470km/h)が出るので大東島に行く際に片道で約1時間早く着くそうです。北海道ではメディカルジェットが運航していますね。